京都生活 ー雨音に惚れてー

東京から京都に越して来て築90年?の家に住んでいます。見に来ていたときに降り出した突然の雨がトタンの部分に当たる音に惚れて決断した家です。おもしろいこと、すてきな場所、京都について感じたことについて綴ります。

半夏生(はんげしょう)の季節になりました

いつも観光客でにぎわっている祇園にありながら、静かな両足院ですが、なんといっても、ここは「半夏生の庭」として有名で、毎年半夏生の時期に一般公開をしています。(それ以外にもイベントなどあるとき、一般公開しています。

 

京都 両足院 | 庭園の特別拝観(特別公開)・寅市(手作り市)・座禅体験

 

今年はもう見頃になっているそうです。

私は今年はまだ見ていませんが、去年もう少し遅い時期に拝観して庭内のお茶室でお煎茶をいただいたことを書きました。もうそんなに時がたってしまったのですねえ。

 

kyoto-seikatsu.hatenablog.jp

 

水なすのお漬け物

京都のものではないのですが、京都の友人たちがおいしいと言っていた、泉州の水なすのお漬け物が生協のカタログに載っていたので、さっそく注文してみました。

東京では見た事も食べた事もないものです。そういえば、去年の夏、東京に行ったとき、山の上ホテルの天ぷらやさんの献立に「泉州水なすの漬け物」というのがあったような…記憶違いでなければ。泉州といえば大阪府

 

京都、大阪と聞くと、私などは京都市大阪市しか思い浮かべなかったのですが、京都府大阪府にはけっこう農地もあるのですね。

 

さて、楽しみにしていた水なすのお漬け物が届きました。たっぷりのぬかにしっかりとくるまれた丸い水なすがビニール袋に入ってきました。

 

どう切るのが一番おいしくいただけるかしら?

とりあえず、縦に。待ちきれずに大きな一切れを口に。

おいしい!水気がたっぷり、でも、水っぽいというのではなく、ジューシーというべきか、そして皮も気にならない柔らかさ。

写真を撮っておけばよかった、と遅ればせながら撮ったのがこれです。

f:id:k-yoshiko:20160518122926j:plain

 

日本の色名に、「茄子紺」というのがありますが、外皮はまさしくそれ。いい色ですね。断面の薄緑と混ざったところもきれいです。

原料を見ても無添加でシンプルなのに、味わい深いのは、工夫を重ねて絶妙に発酵などコントロールしているものと思われます。ぬかを舐めてみても、全然塩辛くなく、懐かしいような素朴て滋味のある味わいです。

 

と思って、検索してみますと、「水なすの漬物の通販」「みずなす工房」などと書いてある公式サイトがありました。2度漬けだから塩辛くないぬかで上手に浸かるのでしょうか?やはりこだわって丁寧に作っている事がわかりました。

「曽呂利」さん 『美味しさへのこだわり』

http://www.sororinomizunasu.com/html/page3.html

 

市販のお漬け物はたいていアミノ酸化学調味料)がはいっていて嫌なのですが、ここは乳酸発酵した独自のぬかをつかっているとのこと。

 

すっかりはまってしまいました。

次の生協の取り組みはいつかわからないので、通販で買ってしまおうかしら。

(曽呂利さんのまわし者ではありません、念のため)

 

 追記:おいしい食べ方は、へたを切り落とし、切り込みを入れて手でさく、と書いてありました。今度買ったらそうします。

 

寺町

前回書いた寺町のこと、少しだけ。

御池通りに面した、老舗和菓子屋さんと中信の間のアーケード街、

雨に濡れずに歩けるところは便利ですが、ちょっと見が、なんだか

東京の私鉄沿線の商店街みたいなところが残念な気もします。

f:id:k-yoshiko:20160517170804j:plain

 

でも、よく見ると、やはり京都ならではのところがそこここにあります。御池から三条までに目に付く京都らしい建物はというと…

 

まず左手に本能寺があり、門前右に日蓮上人の像があります。

本能寺といえば、織田信長の最後を誰しも思い起こすと思いますが、

その時は別の場所にあったそうです。

信長公のお墓がありますが、信長公のお墓は全国にいくつもあるということです。

境内には、私はまだ見た事がないのですが、戦乱や火災をかいくぐって今に伝えられた宝物を展示している大賓殿宝物殿もあります。

 

f:id:k-yoshiko:20160517162647j:plain

この写真は夕方撮ったので、もう閉門していますが、昼間はここから中にはいれます。

 

本能寺の向かいにある、日本の美術や工芸などの古書が店頭に置かれている竹苞書楼も目につきます。。

f:id:k-yoshiko:20160517163845j:plain

「寛延年間創業。天明、元治の大火により店鋪消失。現在の建物はその直後に再建した江戸時代の建物です。文人、学者に支えられ、竹苞書楼は生きてきました」

と、寺町専門店会のサイト(http://www.teramachi-senmontenkai.jp/shop/s06/s06btm.html)に書いてあります。古書籍全般を扱うとありますね。

古そうな貴重な建物とは思っていましたが、江戸時代のものとは知りませんでした。

 

そして、アーケードの天井を見上げると、鐘の形の照明が。

f:id:k-yoshiko:20160517165016j:plain

天性寺、本能寺、矢田寺 と、寺町通にあるお寺の名前が書いてあります。

天性寺はもっと三条に向かって行った左手、姉小路を超えた方にあって、少し奥まっているので、檀家さん以外はあまり行かないのかと思っていましたが、木蓮で有名だそうで、今まで見逃していたのが残念です。

矢田寺はさらに三条通との四つ角近くにあり、赤い提灯とお線香の匂いが注意を引きます。

 

さて、もう一度、竹苞書楼さんのあたりに戻りますが、数件おいて鳩居堂があります。

筆や硯、お香、版画の絵はがきなどを売っていて、いつもお香のいい香りが何メートルも先まで漂っています。

f:id:k-yoshiko:20160517171243j:plain

入り口の方からではなく、横から撮ってみました。こうして見ると、立派です。

 

上島珈琲はチェーン店ですが、鳩居堂の斜め向かいあたりにあるお店は、小さな中庭がガラス越しに見え、奥に町家風の建物があって、落ち着いた雰囲気で気に入っています。

 

この前本を買った其中堂さん。

f:id:k-yoshiko:20160517171829j:plain

その少し先にスマート珈琲店があり、三条通手前に、以前松茸の季節にこのブログに書いたことがある、旬のものを売るお店、とり市さんがあります。

kyoto-seikatsu.hatenablog.jp

 

 

寺町で見つけた本

 寺町通りの御池通りから北は、古美術店、紙屋さん、竹細工店、有名なお茶の一保堂や岡崎から移転した漆器の象彦などがあって、落ち着いた雰囲気で好きなのですが、南のアーケードがある方も、三条まではギャラリーがいくつもあったり、民族楽器屋さんや和洋のお菓子屋さん、休日にはいつも行列ができているスマート珈琲などがあって、京都以外の友人が来た時にも一緒にのんびり話しながら歩くのにちょうどよい町です。

 

 御池通に面したアーケードの入り口には、御池煎餅の他に、四季折々上品なお菓子を売っている亀屋吉永(天保3年創業だそうです)と、京都中央信用金庫(中信)があります。

余談ですが、京都にはメガバンクの支店は意外と少なくて、京都の人たちは京都銀行か中信、京都信用金庫あたりを使っているようです。

 

 そのアーケードを少し行ったところに、其中堂という、仏教書専門の古書店があります。アーケードのせいで全体が見えなくて残念なのですが、中国趣味を取り入れた建物に、前から興味はあったのですが、仏教専門と言われるとちょっと敷居が高くて入ったことがありませんでした。

 

 この前そこを通りかかると、外に置かれた棚に、仏教と関係があったりなかったりするけれど、もっととっつきやすい本が並べてあり、その中で、「禅寺のおばんざい 四季の膳」という本が目に付きました。

 だいぶ前に、禅寺のお料理の本を借りたことがあり、心込めて作る料理がとてもおいしそうで印象に残っていたのですが、はたして、同じ人の料理本の第2弾でした。

 

 

禅寺のおばんざい 四季の膳

 

 四季の移ろいと共に、自然の恵みに感謝しつつ、食べる人が喜んでおいしくいただけるよう心をつくしているのが伝わって来る、シンプルながらセンスのある品々、自家菜園の野菜を使うこともあるようです。

 

 その本と「おりがみ」(といっても封筒や祝儀袋など、折り形に近い)を購入して帰りました。

 

 会計のために其中堂の中に初めて入りましたが、レジの奥に小さな中庭があって、その向こうに日本家屋がある、心惹かれる作りでした。

 

 著者の西川玄房さんは、妙心寺塔頭の東林院の住職ということなので、帰ってからさっそくインターネットで検索してみると、東林院では、宿坊や料理教室、冬には小豆粥の会、6月には沙羅の花を愛でる会などを開いているとのこと。

 

 ぜひ行ってみたくなりました。

禅寺のおばんざい

 

おりがみ 包みと結び (おりがみ工房)

ユーラシアのかたきを京都で討つ?

 もうひとつのブログ、シベリア鉄道を使った旅行体験記(還暦ひとり旅 シベリア鉄道+ヨーロッパ日記)で書きましたように、途中で体調不良になったり飽きてしまわなければ、ポルトガルまで行く予定でした。

そうすると、上海から始まって、ユーラシア大陸横断が達成できたはずなのですが、なんといっても前から行ってみたかった本来の目的地はポルトガルだったのです。きれいなタイルや情熱的なファド、海、ネットで見つけた、希望にあわせて調香してくれるという香水店がそこにはあったはず。それと、けっこう日本人の好みにあっておいしいという料理…

 

せめて日本でポルトガル料理のお店があったら行ってみたいと思っていたのですが、スペイン料理はけっこうあっても、ポルトガル料理はなかなかありません。

 

と思ったら、なんと、ポルトガル人シェフがカステラやポルトガル菓子を焼いて売っているお店のカフェで、ゴールデンウィーク限定で、ポルトガル料理のランチをやっているとの情報を得ました! 

 

そのお店、カステラ ド パウロは、北野天満宮のすぐ横(東側)にあります。

 

さっそく行ってみました。(5月7日)

倉が2つ並んでいる、右側です。

 

f:id:k-yoshiko:20160508104344j:plain

 

中に入ると、お持ち帰り用のお菓子を買う人で混み合っていました。

2階席をお願いして、案内していただきました。階段が急なのでお気をつけ下さいと書いてあります。

2階は、太い梁とがっしりした木組みが見えていて、つやつやした木のテーブルと木の椅子が置かれ、壁にはアンティークの調理器具が飾られています。民族衣装も飾ってありました。

f:id:k-yoshiko:20160508105828j:plain

 

ぶれている上に、立派な梁が写っていません。ごめんなさい。

 

f:id:k-yoshiko:20160508105938j:plain

壁に沿って飾られた調理器具を席から見上げたところです。

 

ランチは1種類で、7日のは、春キャベツとズッキーニのポタージュと、オレンジと生野菜のサラダ、干し鱈のコロッケ、チキン(ポルトガルではアヒルを使う、とのことでしたが、鴨?)入りライスで表面がこんがりしているものの盛り合わせと、ドリンクでした。

ワインも選べたのですが、私は残念ながらアルコールに弱いので、アイスティーにしました。

 

ご飯のおこげのところが少し固いですが、それはそれでおいしかったです。鱈のコロッケはコロッケというイメージより唐揚げっぽいかな。

なかなかおいしくて、十分お腹がいっぱいになったのですが、テーブルにお菓子の紹介一覧が置いてあって、見ていたら試してみたくなってしまいました。

翻訳が「若い修道女の乳房」などという名前のがあって、興味深かったのですが、卵黄と砂糖だけを使っているということは、鶏卵素麺みたいな味? としたら、子どもの頃から鶏卵素麺だけは食べられなかった私にはもしかしたら向かないかもしれないので、見送りました。

エッグタルト(違う名前ですが)みたいなものや、おいしそうなのがいろいろありましたが、カスタードと生クリームのエクレアに鶏卵素麺がのっているのをいただいてみることにしました。鶏卵素麺、ずっと苦手だったのですが、子ども時代に食べられなかったもので大人になったらけっこうおいしいと感じるようになったものもあることですので、そろそろ試してみたい、でもたくさんは恐い、ということでちょうどいい量です。

 

鶏卵素麺もポストガルから渡来したものだったと、ここで初めて知りました。

 

キャベツの葉を模したお皿で供されました。

f:id:k-yoshiko:20160508115841j:plain

 

全然違和感がなくて、たいへん美味でした。カスタードも生クリームもおいしいです。植物油を加工した工業製品クリームを使うお店が多いので、生クリームが合格のお店は本当に少ないです。

鶏卵素麺だけも味わってみましたが、くせがなくて問題なしでした。

 

お店の名前にもなっているカステラもそのうち味わってみたいものです。

ポルトガル人シェフが焼いていると聞いた時に、日本のカステラの原型のポルトガルのカステラなのかと思いましたが、シェフは長崎の老舗(1600年代創業!)で修行してからポルトガルでお店を開き、その後京都の元造り酒屋の蔵を改装してお店を出されたそうです。

 

オフィシャルサイトは

Castella do Paulo(カステラ ド パウロ ) | 京都“北野天満宮”大鳥居横のポルトガル菓子店

 

追記 

2016年10月より日曜と祝日のみランチを継続されているそうです。平日は予約のみ。詳しくはオフィシャルサイトをごらんください。

京都の柏餅

3日に少し早めの柏餅を食べたのですが、「京都の柏餅の研究」という言い訳で、今日も買ってしまいました。

3日にいただいたのが、こしあんは普通の東京のと同じものでしたが、みそ餡が、山椒の風味がしてお醤油が少しはいっているものだったので、そのお店が特別なのか、それとも京都ではそういうものなにか、同じ通りの別のお店で買ってみたのです。

 

今日5日に買った方が少し味が濃い感じですが、やはり山椒の風味がしてお醤油が入っているようでした。

京都の味噌餡はみんな山椒とお醤油が入っているのでしょうか?

東京のは山椒もお醤油も入ってないと思ったのですが、実は私は子どもの頃から最近まで、みそ餡が好きではなくて、あまり食べた事がなかったので、そうだったと言い切れる自信がありません。

 

北野天満宮の紅葉園でしか手に入らない老松のお菓子、上品な餡にお味噌と実山椒とお醤油が入っているのが、大胆に変っているけれど絶妙で、さすが老舗のお菓子だと思っていましたが、京都ではそんなに変った方ではないのかしら?

 

それはともかく、柏餅の柏の葉はなんともいい香りですね!

 

f:id:k-yoshiko:20160505225334j:plain

 

両足院の樹木葬合同慰霊祭に出席しました

桜の花が咲き始めた頃、建仁寺塔頭の両足院の樹木葬合同慰霊祭がありました。

樹木葬」ということば、最近見かけることがあると思います。
京都のお寺でも、何箇所かで始めているようです。
なるべく自然に帰りたい、子どもがいない、いても負担をかけたくない、という人が、従来のお墓ではなく、樹木葬を選ぶようです。
 
私が見たことがある樹木葬のところは、樹木葬といっても、林の中みたいな所ではなく、まわりに木はありますが、墓地の一角に杉苔で覆った場所ができています。区画も決まっているのですが、目に見える仕切りなどはありません。普通のお墓のようにコンクリートで固めた中に骨壺を収めるのとは違い、さらしで包んだお骨を土に埋葬します。
 
ふと思うところあって、いつどうなるかわからないし、旅行で京都に来ていた頃の楽しい思い出のある祇園にある、この両足院の樹木葬に自分の場所を確保しておくことにしたのです。宗派は問わないということです。
 
両足院は、前から半夏生の季節と、友人や妹が観光に来たときに訪ねていますが、観光客でにぎわう町の中にあるとは思えない静けさです。

両足院の副住職の読経、参加者の焼香、献花のあと、本堂にて法話をうかがい、そのあとでお茶とお菓子をいただきながら墓友の懇親会(自己紹介)がありました。
 
親御さんや配偶者をなくされ、納骨されているかたもいらっしゃいますが、元気だけれど用意だけしているかたが圧倒的に多くて、将来一緒にお墓で眠るお仲間ということで、事務局が「墓友」と名付けてこのような懇親会の場を用意してくださっています。
 
きれいに髪をセットして、着物の着付けから足袋のつま先まであか抜けた感じのかただと思ったら、宮川町の女将とのこと。
男性の何名かは、若い頃宮川町で飲み歩いたので、近くていいと思い、両足院を選ばれたとか。帰りに家族で祇園で食事をするというかたも。
京都以外のかたで、京都大好きなかたもけっこういらっしゃいます。
 
静かで美しい庭を眺めながらお茶をいただいていると、本当に心が安らいで、お墓にはいるのが楽しみなような気分になってしまいます。どこにお墓があろうとなかろうと、魂はどこにだって自由に行かれると信じているのですけどね。
 

f:id:k-yoshiko:20160503094839j:plain