京都生活 ー雨音に惚れてー

東京から京都に越して来て築90年?の家に住んでいます。見に来ていたときに降り出した突然の雨がトタンの部分に当たる音に惚れて決断した家です。おもしろいこと、すてきな場所、京都について感じたことについて綴ります。

京都の紅葉 妙心寺退蔵院、大法院と北野天満宮

妹が東京から紅葉を見に来たので、一昨日(28日)、一緒に出かけました。

朝少しのんびりして、まず、前もって昼食付き参観を予約していた妙心寺の塔頭・退蔵院目指しました。

退蔵院といえば、「そうだ、京都行こう」というコマーシャルで、見事なしだれ桜が有名になりましたが、紅葉もきれいなのです。

 

ふたりでバスと電車を乗り継ぐなら、タクシーでもたいしてかわらないかと思いましたが、思ったより遠かったです。うちはどちらかというと、京都の東の方、退蔵院は西の端に近い方にありますので。

 

タクシー運転手さんが、北門の方が近いからと北門につけてくれました。

予約時間より1時間早かったので、南門近くの退蔵院に向かいながら、他の塔頭寺院も見ることにしました。

 

妙心寺は日本最大の禅寺というだけあって、広大な敷地に46もの塔頭寺院があります。

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公開はしていませんが、門の向こうに美しい紅葉の見える、雰囲気のよいお寺です。

 

天球院の竹に虎図も虎がかわいらしくて見たかったのですが、あとにして、「紅葉見ごろ」と書いてかった大法院に入ってみる事にしました。

 

散り敷いた紅葉はすでに茶色くなって、緑の苔と真っ赤な紅葉のコントラストは楽しめませんでしたが、木についている葉はまだまだきれいでした。

 

ここで紅葉を眺めながら、お菓子(栗のはいったでっち羊羹)と、お抹茶をいただきました(拝観料700円に含まれています)。おいしかったです。それに眺めもよいので、格別です。

 

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庭の向こうには山が見えます。京都市は大きすぎず、自然が身近にあるところがいいですね。

 

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のんびりとひと時を過ごし、退蔵院に行きました。まだ受付時間には間があったので、先にお庭を見ることになりました。

 

方丈(本堂)には国宝の瓢鮎図があるのですが、模写が外側に展示してあります。

そこに、しだれ桜と陰の庭、陽の庭があります。陰陽はものごとや人の心の二面性を表しているとか。併せて15の石が配置されているのは、15という数が完成を表しているからだそうです。

 

こちらが陰の庭。

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陽の庭。一部しか写真にはいりませんでした。

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売店で、友人がおいしいと言っていた餅どらを妹の連れ合いへのお土産に購入。

皮がもちもちして、ほどよい甘さだそうです。

 

水琴窟の妙なる水音に耳を傾けてから、奥に進むと、余香苑と名付けられた中根金作氏設計の昭和の庭があります。元々は竹やぶだったのが、竹の花が咲いて枯れてしまって、庭を造る事にしたのだそうです。池がひょうたんの形をしている事に気がつかなかったのですが、瓢鮎図に因んだひょうたん池だそうです。

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通常非公開の書院で食事をいただきますが、その前にビデオを見ながら解説がありました。

「退」という字は、日本語ではしりぞく、という意味ですが、中国語では隠徳を表しており、「退蔵」とは、隠匿を積むということだそうです。隠徳は、見返りをもらってしまってはだめなのだそうです。

国宝瓢鮎図には、ひょうたんを持った男とナマズが描かれています。小さなひょうたんでどうやってナマズをすくうか、という禅の公案(修行のための問題)です。

 

鯰という字は日本でできた漢字・国字で、中国語では、瓢鮎と書くのだそうです。

一説に、ひょうたんは自分の心、ナマズは人の心だそうです。

絵の上には上に高僧31人の回答が書かれています。

 

そのまま放っておくのがいいのだ、という回答もあるそうです。

3分の1ぐらいが中国からのお客様でしたが、禅の話なども即座に訳す通訳に感心しました。日本の文化に興味を持ってくれて嬉しいです。食事の時にお隣に座った方(日本人)が、中国語の響きがふわっといい感じだったとおっしゃってましたが、同感でした。

 

お腹も空いてきた頃、昼食になりました。お品書きには「名秋の昼」の題が書かれています。

 

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言わずと知れた精進料理です。「阿じろ」さんのお料理です。お汁に何か丸いものが、と思ったら、細いうどんを丸く巻いてあって、「達磨うどん」だそうで、ひと工夫してあるところが嬉しいです。(蓋をはずして写真を撮ればよかったのに)

 

食事をいただいた部屋の床の間の横の戸を開けると、通常非公開のかくれ茶室「

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囲いの席」がありました。

 

 

私たちはもうお庭は見学してしまったので、御朱印をいただいて、虎の絵のある天球院へ向かいましたが、残念!拝観受付は4時までで、15分ぐらい過ぎてしまっていました。

 

そこで、嵐電北野白梅町に行って、北野天満宮の紅葉苑に行きました。

いつもの紅葉まっさかりという感じとは違いますが、まだ葉が緑のもの、黄色っぽいものから真っ赤なものとグラデーションがきれいでした。

 

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ただ、もみじ苑の私の楽しみ、老松さんの「大茶会」がなくて、月餅だったのががっかり。月餅もわるくはないのだけど… 「大茶会」は白あんにお醤油と粒山椒という意外な取り合わせの配合が絶妙で、初めていただいた時は、「みやこの洗練の極み!」と感激したのですが。

 

月餅はバッグに入れ、北野天満宮のお隣のカステラ・ド・パウロに寄りました。平日ですが、けっこう人がはいっていました。

 

妹はパステルデナタ(エッグタルト)とカフェオレのセット、私はコーヒーと、一軒サンドウィッチみたいな、三角に折った紙ナプキンをかたどったというお菓子(名前は失念)にしました。ふかふかのスポンジに生クリームと卵黄のクリームがおいしかったです。

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追記(12月1日): 老松(上七軒にある和菓子店、上七軒は京都最古の花街)さんの月餅(香果餅)を今朝いただいてみたら、おいしかったです。月餅と言っても、皮と餡がはっきり分かれていなくて、全体に混ぜ合わせてあり、しっとりしています。やはりひと味ちがう、洗練されたお菓子になっています。

老松さんは有職菓子御調進所だそうです。

 

 

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ポルトガルのお菓子 マミーニャシュ

えっ、「若い修道女の乳房」? と日本語訳を見て、ちょっとばかり驚いたのは私だけではないでしょう。マミーニャシュというお菓子です。

 

いやいや、背徳的なところなどみじんもなくて(たぶん)、どこまでもふわふわした、優しくて甘い、卵黄とお砂糖でできている純真無垢なお菓子という意味でつけられた名前だと思うのです。

小麦粉を使っていない、卵黄とお砂糖だけのパフに卵黄クリームをはさんだものだそうです。ポルトガルのお菓子は卵黄を好んで使うのが特徴のようです。

 

前に北野天満宮横のこのポルトガル菓子のお店に初めて行ったとき、どんなお菓子かなあ、とメニューを見て思い、近くの席の人もメニューを読み上げていたのですが、その時は、もうひとつの興味を引かれたお菓子、カスタードと生クリーム、それに鶏卵素麺をプラスしたシュークリームを選びました。ちなみに鶏卵素麺がポルトガルから伝わったと知ったのはその時でした。

 

後日、念願のマミーニャシュをお持ち帰りで買ってみました。

やわらかくて、幼い日にやさしさに包まれたときに感じた幸福感を思い出すお菓子でした。思い出すと、また食べたくなります。

 

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栗のお菓子(第2弾) KASHIYAさん

おいしいモンブランを求めて検索していたときに、二条通の、川端通から西に行った北ところにある、KASHIYAさんというお店が出てきました。

もう10月末のことですが、さっそく行ってみました。

 

町家をリフォームした落ち着いたお店です。

 

店主は藤田怜美(さとみ)さんという、和菓子の老舗、亀屋吉長で修行をなさって、斬新なお菓子を創出されたかただそうです。

 

お店にはいったすぐの所には、ショーケースにお持ち帰り用のお菓子が置いてありました。

 

テーブル席ですが、懐かしいような、日本家屋です。

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いちじくのほうじ茶煮というのにも、すごく惹かれたのですが、やはり栗のお菓子を選びました。

モンブランはなくて、栗きんとんでした。といっても、シェフのお菓子ですから、普通のとは違い(普通のも十分おいしいですが)、メレンゲにのっていてクリームその他がはいっていて、さらに上に栗がのっているという、凝ったものになっています。さすが元和菓子屋さんだけあって、仕上げが美しいです。

栗のアイスクリーム、栗のチップスなどと一緒にプレートに盛りつけてある様子も芸術品の風格です。

栗は国産、西日本のものとのことです。

 

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お値段も飲み物別で1400円と芸術的…

芸術の秋を楽しみたいかたにおすすめです。

 

 

ちなみにトイレ(ご不浄というほうがしっくりきそう)は濡れ縁を通って行くようになっています。昔の町家はそういう造りが多いのでしょう。お風呂は自宅になくて銭湯でしょうか。

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季節限定・丹波栗のモンブラン

ちょっと贈り物と思って大丸デパートのマールブランシュに行きました。うちからは本店の方が近いですが、他にも買い物があったので。

 

この季節になるとどうしてもモンブラン、輸入ペーストではなく、生栗から作るモンブランが気になるもので、ケーキのコーナーを横目で見ると、季節限定の2種類のモンブランがありました。

 

以前本店の喫茶に行った時はまだ季節が早くて丹波栗のモンブランは食べられなかったのですが、ショーケースにそれがあるではありませんか。

お値段はケーキとしてはかなり高級ですが、なにしろ丹波栗ですから。

といっても、私は違いがわかるほどの食通ではないのですが…

 

買って帰りました。

 

外側から、おなじみの細く絞り出した栗のペースト、薄いスポンジ、ホイップクリーム、スポンジ、栗きんとん(おせちのではなく中津川の)みたいなもの、スポンジ、と層になっていて、栗きんとんみたいな部分が特においしかったです。クリームが植物性っぽいのが残念かな。でもちょっと奮発して損したと思わない味でした。

 

モンブランは私にとって秋には欠かせない味覚です。

 

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旧三井家下鴨別邸

祖先を祀った神社に参拝するときの休憩所としてこんな豪邸を造ったとは、三井家ってやはりすごいですね。しかも、三井家は京都を拠点としていたので、住まいは油小路にあったそうです。

 

10月1日から公開される、重要文化財・旧三井家下鴨別邸の内覧会に行きました。

下鴨神社の南、すぐ近くです。三井家の神社は顕名(あきな)霊社といって、そのあたりにあったそうです。

近所のかたとのんびり行くと、すでにけっこうたくさんのかたが来ていました。

 

靴を脱いで入ります。

入り口ではすでに特製マカロンやクリアファイルなどのお土産が展示してありました。

 

和風建築にカーペットを敷いて洋間として使う玄関棟でボランティアガイドさんに説明を受け、主屋へ。

主屋は明治13年建築の木屋町別邸を大正14年に移築したものだそうです。

廊下でつながっているお茶室もあります。

 

ひょうたん形の池のある庭が見渡せる2階、さらにその上に小さな部屋があり、急な階段をあがると望楼があって、そこからは五山送り火の大文字と法の字が見えます。

 

2階は有料で貸し出すそうです。大きなお座敷は庭の景色がいいですし、小さな洋間は落ち着いた雰囲気で会食や会議ができそうです。

というわけで、2階、3階は特別公開の時のみ一般に公開され、普段は1階のみの見学ということです。

やはり特別公開の時に行って望楼にあがってみるのがおすすめです。

 

庭に出て、池の反対側から家の全景を見て、写真など撮って、またのんびり帰りました。屋内は撮影禁止でした。屋内の廊下から庭を撮るのはOKでしたが、望楼からの撮影はNGです。周囲の家のプライバシー保護のためだそうで、街中のお寺の三門でも、そういう所があります。

 

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2階からお庭を見下ろしたところです。百日紅が咲いていました。

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萩の寺

京阪・出町柳駅近くに、「萩の寺」として有名な常林寺があります。

小さなお寺の本堂と門の間に白い萩、赤紫の萩が植えられています。

ご本尊の拝観などもなくお庭も小さいからか、拝観料も取らず、解放しています。

お賽銭箱も見当たりません。

 

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萩とススキの組み合わせも風流です。

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去年、萩の花が咲き終わった頃、通りかかると、萩はすべて地上20センチくらいのところで切ってありました。

それがまたこんなに伸びてきれいな花を咲かせるのですね。

下鴨神社 名月管弦祭

今日は中秋の名月

下鴨神社の名月管弦祭のポスターを見かけたので、軽く夕食をとってから、行ってみました。

 

空にはうろこ雲のような雲があって、月は時々隠れたり、のぞいたり、煌煌と明るく照ったり。

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肉眼で見ると、月はもっとくっきりしていたのですが、写真がへたでごめんなさい。

 

ちょうど美声の尼さんが琵琶を弾きながら語っていました(歌っていたというべきでしょうか?浄瑠璃だと「語る」と言いますが)。

なぜか月が青く写ってしまいました。よくわからない写真なので、雰囲気だけどうぞ。

屋根の上には名月。篝火が焚かれていて、風情がありました。

 

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木曾義仲」「兼平」という名前が聞こえたので、あとで検索すると、どうやら「木曽最後」という演目のようです。戦で、もはやこれまでと死んでゆく場面なので、悲しい雰囲気でした。

次はふたりの尺八奏者の演奏で、高雄山の紅葉を表現した曲。

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次はお琴の演奏でした。

 

最後まで聞きたかったのですが、途中で失礼して帰宅しました。

みたらし団子、矢来餅、お酒、山田松香木店、老松(和菓子)などのお店が出ていました。管弦祭だからでしょうか、お店も上品でした。