流響院見学
今日は、市民新聞だったかの記事を見て申し込んでおいた岡崎の流響院見学の日でした。
流響院は、現在は宗教法人・真如苑が所有・管理していますが、春と秋に一般公開を事前申し込み制で行なっているようです。
明治末に実業家塚本与三次が建てた邸宅で、その後、龍村美術の龍村氏の所有になり、真如苑が龍村氏から譲り受けたとのことです。
米軍に接収された時に、母屋の鴨居、欄間、襖は取り払われ、畳もフローリングに変えられて、ダンス会場になり、母屋のお茶室はシャワー室にされて、米国軍人が住んでいたそうです。
それを文書、図面、写真を参考に復元、庭も埋められていた流れを掘り出したりして復元して、今の姿になりました。(京都では、土を掘って何か古いものが出てくると、発掘調査をすることになり、調査は学者がするけれど、費用は施主持ちだそうで、古都で工事は大変です。市役所や府庁舎の改修工事でも「発掘調査中」の幕が張ってありました)
有名な小川治平と長男安太郎による庭は、母屋から正面に見える東山の峰々からずっと続いているかのように木が植えられ、池と滝とせせらぎが配置されているのですが、散策する人は自然の中にいるような気分になるのに、実はすべてが計算され尽くされているのです。
東山は昔は松の木が植えられていたそうで、その延長に見えるように松の木が植えられ、遠近感を出すために近くに太い松、遠景に細めの松が植えられているそうです。
藤は棚を作ると人工的になってしまうので、松の木に寄りかかるようにしてありますが、植木屋さんは、女藤が男松を絞め殺す、というのだそうで、直接からまないようにロープなど使ってあります。(植木屋さんの職人の世界もおもしろそう)
琵琶湖疏水から引かれた水が、曲水とせせらぎと二段の滝となって池に注いでいますが、場所によって滝の音が聞こえたりせせらぎの音が聞こえたり、曲水の流れも深さに差をつけることで水の流れに変化をつけてあるなど、驚嘆するばかりです。
説明していただきながら、庭園を一周して、どうして「流響院」の名前をつけられたのか、納得できました。
その二段になっている滝も、二段に見えるのは、庭の一箇所からだけで、少しずれた場所からは、段になっているように見えないように松の太い枝が段を隠しています。
雁行型の母屋の東山に向かって一番突出したお部屋で、観月の宴が催されるそうですが、大きな庇のために月は直接見えず、中秋の名月は池に美しく映ったものを鑑賞するとのこと。
もう感心してしまうことばかりです。
さらに、それまで日本庭園に使われなかった芝生を取り入れたり、私など今まで見たこともなかったような外国産の木を茶室の前に植えたりと、斬新でもありました。
永観堂も近く、観光客で混雑するバス通りが外を走っているとは思えない静かなお庭で、日光に透ける紅葉、木々や青空を映す池、澄んだ水の音を堪能させていただきました。
余計なものに煩わされずに歩を進めるにつれて変化していく微妙なもの、草木や花、音を十分に感じ取れるように、撮影禁止なのだな、と思いました。
というわけで写真がありませんし、メモも取らず記憶が頼りなので、勘違い、記憶違いがあったらごめんなさい。
自分の忘備録かねて書きました。
今の季節、早朝には東山に靄がかかり、池から水蒸気が立ち昇るそうです。どんなにかすてきでしょうね。それを見たいと望むのは高望みすぎるとしても、桜の季節に再びこの庭園を見たいものです。
碧筒盃体験
7月6日、京都府立植物園での碧筒盃体験に行ってきました。
蓮の葉を盃として使うなんて、なかなかできないことなので、朝に弱い私もちょっとだけ頑張って、7時すぎに家を出ました。
定員60名ということで、そんなに競争が激しくないせいか、まだそれほどたくさんの人が並んではいませんでした。
会場は、鴨川門に近い、四季彩の丘でした。
45分に整理券が配られ、蓮の葉の冷茶と蓮の実の甘納豆をいただいて、席につきました。甘納豆は黄檗宗萬福寺と書いた袋が置いてありました。
碧筒杯は、もともとは中国起源なのだそうですが、中国では消えてしまい、京都のお寺などに今なお伝わっているそうです。
蓮の茎とは泥に埋まっている部分のことだそうで、長い茎のような部分も、葉なのだそうです。レンコンのような穴が貫通していて、水を吸い上げるのですが、切り花にしてしまうと、吸い上げが悪くなり、つぼみは咲かなくなってしまうのですって。
最初にいただいたのは、葉を焙じて作ったお茶ですが、お話の途中で、実の中にある芽を取り出したものを集めた蓮心茶をいただきました。苦いです。苦いので、甘納豆など作るときにははずすのですが、漢方としての作用があるそうです。
下のようなものです。参考まで。(ここで売っていたわけではありません)
テーマは碧筒杯ということで募集していましたが、今回は、まだ開花が始まって日が浅く、柄がやわらかくて折れずに曲がるので、象鼻杯でした。
本来はお酒を飲むようですが、植物園内は禁酒なので、水でした。
碧筒杯と象鼻杯、どこが違うかと言うと、丸い葉の方を高く掲げてもらって飲むのが碧筒杯で、自分で片手でもっと低い位置に持って、細長い部分をたわめて口に入れるのが象鼻杯だそうです。ぞうさんの童謡を歌うときの振り付けのイメージ。
碧筒杯だと、一気に飲み続けないとこぼれてしまうけれど、象鼻杯は、蓮の葉が水をはじくので注いだお酒が透明な玉になってコロコロするのも目で楽しみながら、自分のペースで味わえるところが、より風流とのこと。
丸い葉の中心の少し白っぽく見える部分は、水は通さず空気を通して、水中の茎が腐らないように空気を供給しているのだそうですが、盃にするときは、竹串やつまようじで穴をいくつかあけます。蓮池に小舟を出して宴会をしている図も配布されたプリントにありましたが、そういう場合は、芸者さんのかんざしなど使ったのではないかと。
家に帰ってから、ほんの少しお酒でやってみましたが、なかなかオツなものでございました。
四季彩の丘周辺に置いてある鉢植えの蓮は、間近に眺めたり、香りを楽しむこともできます。甘いだけでなくて、少しサロメチールみたいな(ツンと来るわけではありませんが)涼やかさもある香りで、品種や、咲いて1日めか、2日目か、によっても違うとのことです。蓮の花は、4日間朝開いて午前中10時から11時ぐらいにはつぼんでしまうのですが、3日目には香りがだいぶ弱くなり、4日目にはつぼまずに散ってしまうそうです。
1日咲いたあと、煎茶をハーブティーやお茶用バッグにつめて、花の中心に置き、つぼみの形に戻して、ひもでしばって香りを移すお茶もあるとのこと。
池の蓮もきれいでした。
祇園祭 山鉾巡行くじ取り式
祇園祭は山鉾巡行と宵宮が有名ですが、実は7月1日に始まり、7月末まで儀式があるのです。
7月2日、京都市役所市会議場に、くじ取り式の見学に行きました。
前もって申し込み期間内に申し込み、当選すると、見学することができるのですが、去年、一昨年ははずれ、3度目の正直で、一度は見てみたいという願い叶って、当選のお知らせが郵送されてきました。
早めに家を出て、自転車を走らせ、市役所前に到着、バッグの中を見ると、ない!
「必ずこのお知らせをお持ちください」と書いてある、お知らせが入ってません!
カメラやスマホ、お財布は忘れてないか確認したのに。なぜかそのプリントは真っ先にバッグに入れたと思い込んでいました。でも、そういえば入れた記憶がありません。お財布と一緒に置いておいたのに。
名前と住所を言えば入れてもらえるかもしれないと思ったのですが、受付も探すのに時間がかかりそうでもあり、取りに帰ることに決めました。
15分で往復できるとは思えなかったけれど…
安全だけは心がけながら自転車を飛ばし、家に帰ってみると、ありました。
その日はいらないからとバッグから出したものの下に。
市役所に戻ると、当然遅刻してしまってましたが、ありがたいことに入れていただけました。受付は新築の西庁舎でしたが、案内していただけなかったら、たどりつけなかったと思います。それほど複雑な経路でした。
音を出さないよう気をつけて議場2階の傍聴席に入りました。
市長、八坂神社と山鉾の関係者は、紋付袴姿で居ならび、厳粛な雰囲気です。
山鉾関係者は、涼しげな紗の羽織です。
市庁舎も歴史ある建物ですが、市議会議場からは、京都の議会の歴史が感じられました。むかって左側に肖像画、右側に写真がずらっと飾ってありました。
壁紙(布)は金色の絹のようです。
くじを引く順番を決める予備のくじが既に行われていて、その順番に従って巡行の順番のくじを引くのですが、すでに前祭の鉾のが済んで、山のくじ取りが行われているところでした。
山鉾の中には、常に先頭の長刀鉾や最後の船鉾など、くじ取らずと言って、順番が決まっているのでくじを引かない鉾と山があり、それ以外の山鉾が今年巡行する順番がこのくじ取り式で決まります。
前祭、山のあとには、2基の傘鉾、その次は後祭の山6基の代表者がくじをひきました。
(余談ですが、綾傘鉾は、イケメン青年の棒振り踊りがネット上では知る人ぞ知る話題になってます。当日は顔が見えない扮装です。お囃子もいいですね。)
「 後祭 山6基のくじ」というと、6枚のくじがはいった封筒とハサミを載せた三宝が市長に差し出され、市長が封を切ってくじを取り出して枚数を確認。それを別のかたが一枚一枚書いてある数字が見えないように折って参謀に乗せ、山の代表者が一枚取り、読み上げて会場に見えるように掲げます。
前の机では、毛筆で「何番 なになに山」と書いていて、全部のくじ引きが完了後、各山鉾に渡されました。
その紙は、巡行の際、四条通りで行われる「くじ改め」で手箱から出して、奉行役の市長に提示することになります。
山鉾連合会の理事長さんが、閉会の辞の中で、健康で商売もそこそこうまく行っていないと、今日のこの日にここでくじ取り式に出席できないので、ここにいられる幸せを思う、人間は皆早い順番を取りたいので、くじを引く人の責任感、プレッシャー、遅い順番を引いた時の落胆などがひしひしと伝わる、と述べられたのが印象的でした。
京都生まれでも鉾町の住人でもない私にも、それが感じられたくらいですから。
このくじ取り式は、先陣争いを避けるために始まったそうです。
そして祇園祭には1万人もの人が関わっているのだそうです。
各町内が、伝統を守るだけではなく、伝統を守ることを軸足に、新しい工夫をして、それを続けられるか検証しながらやっているそうです。
30年以上貢献してこられた功労者(ご夫妻も)の表彰式もありました。
市会議長の祝辞で、庁舎を改修するので、この議場でくじ取り式を行うのは今年が最後ということでしたので、今回見学できて本当によかったです。
帰りはなんのことはない、普通に階段を降りて正面玄関からすぐに外に出られました。
外壁工事中で囲ってあるので、そこから入るのは少しわかりにくいかも。
鞍馬寺
2両編成ですが、11月は電車の本数が多いはずにもかかわらず、けっこう混んでいて、皆さん鞍馬寺に行くのかなあ、と思ったのですが、半分以上の方が一つ前の貴船口で降りて行かれました。出で立ちもハイキング用なので、歩きながら紅葉を楽しむのでしょう。
鞍馬寺の駅に降り立つと、駅舎には赤い天狗のお面が飾られていました。和風でなかなか感じが良い駅です。外にも大きな天狗のお面がありました。雪で鼻が折れてしまったと聞いていましたが、直したか、新しいものと取り替えたようです。
山門(仁王門)は駅からすぐ近くにありました。
さすがに東福寺や街中の神社仏閣ほどは人が多くありません。
狛犬ならぬ虎が可愛らしいです。
「ん」の方は柔和な表情をしています。
順路を進んで行くと、お社があったり、湧き水とそれを詠んだ和歌の碑があったり。魔王の滝というのもありました。魔王と言いましても、悪鬼ではなく、大地の霊王・護法魔王尊ということです。
入り口でいただいたリーフレットには、「鞍馬山は、すべてのいのち輝く世界のために、明るく暖かく力強く生きるための活力を、本尊『尊天』からいただくための浄域です」と書いてあります。
尊天とは、
慈愛ー月の精霊ー千手観世音菩薩
光明ー太陽の精霊ー毘沙門天王
活力ー大地(地球)の霊王^護法魔王尊 の三位一体だそうです。
「愛と光と力の像 いのち」というオブジェもありましたよ。
パワースポットとして人気があるというのもわかる雰囲気があります。
文楽・歌舞伎の「義経千本桜」に登場する兵法の達人、鬼一法眼を祀った鬼一法眼社もありました。
本殿金堂までずっと登り道です。土のところと、階段とありました。
足に自信がない場合には、ケーブルカーもあります。
見晴らしの良い金堂のところに着く頃には、若い人でも息を弾ませていました。
でも、森の香りが清々しくて、気持ちが良かったです。
こちらが金堂です。
お参りして御朱印をいただきました。
2冊目の御朱印帳の最後のページでした。開いてお渡しした時に、髪の毛が1本落ちてしまったようなんです。それで、お坊さまが書いてご朱印を押して返してくださる時に、「これは私のではないですよね」と髪の毛を指差して言われました。面白い方にいただけて良かったです。
ここまで登った甲斐あって、遠くの山々と紅葉や山茶花などを眺めて楽しむことができました。
残念ながら、奥の院と木の根道、貴船神社へ抜ける道は、この間の台風による倒木のため通行できなくなっていました。
というわけで、来た道と同じ道を戻りました。
帰りの電車は運よく展望電車「きらら」でした。
ガラス窓が大きく、片側の座席が窓の方を向いています。
紅葉のトンネルも、普通の電車でも綺麗でしたが、窓が大きい分楽しめました。
空の広さが感じられて爽快でした。
町屋で日本料理
関東から友人が来て、一緒にランチしようということになった時、さて、どこにしようかと考えてしまいます。
私の友人たちは高級料亭で食事するようなマダムではないし(私もそれにはおつきあいしきれませんし)、かと言って、せっかく京都に旅行に来て、いつもと変わらないランチというのもつまらないでしょう。
そんな時、ここにして正解、と思ったお店、それは、実家が京都の友人に教えてもらった「藤本」さん。数回お友達と行きましたが、皆さん、お世辞でなく喜んでくれました。
烏丸通から三条通りを西に少し入って、左(南)にちょっと曲がった路地奥の町家なのですが、最初はちょっとわかりにくくて、近くから電話をして教えていただいたりしました。完全予約制ですが、一見さんお断りなどということはないので、席さえ空いていれば大丈夫です。
私はお友達とは大抵ランチなので、ランチですと、懐石が5千円くらい、ミニ懐石が2,900円プラス税です。(2017年7月)
1階のカウンター席と2階のお座敷があります。
最初行った時は2階に案内され、町家独特の急な階段をお料理を持ってよく上がれるものだと、友人と感心しました。
街中なのに、静かな落ち着いた室内で、本格的なお料理をゆったり味わえて、それにしてはリーズナブルです。
一番最近行ったのは7月でしたので、最初のお料理は鉾の形の器に盛り付けて供されました。2階のお座敷でした。
屋根をはずすと、
詳細はだいぶ忘れましたが、珍しいところでは、白芋茎(ずいき)の握り寿司というのがありました。
いつも思うのですが、お酒が飲めたらいいのに。アルコール分解酵素を持たずに生まれてしまったのでしかたありません。
お椀は確か九州のぐじと胡麻豆腐。もちろん美しい蒔絵の蓋がありましたが、とったところの写真です。
お造りです。なんと、せっかくの京都らしい鱧を、写真を撮る前に食べてしまいました!手前の空間にあったのですが。
焼き物です。鰆だったかな? 忘れないうちにアップすべきでした。御免なさい。
とうもろこしのご飯をおみおつけ。
そしてデザート。5品の中から好きなものを選べます。いつも全種類いただいてしまいます。
何かの会合で日本料理は堪能した、という人とは、洋の、やはりハズレのないお気に入りのお店に行きます。
萩の花
萩の花がぽつぽつ咲いているのを見かけたので、梨木神社も咲き始めたかな、と行ってみました。
この前行った御所の方からではなく、北側の道路と御所の間の木漏れ日の歩道を通ってみました。盛夏には暑いことと思いますが、この季節には木陰はひんやりして心地よかったです。
萩の花を見に行くにはまだ早すぎましたが、少し咲き始めていました。
蝶が蜜を吸っていました。
白い花もあります。
こちらはフジバカマかと思いましたが、どうやらヒヨドリバナという花のようです。
水引草も咲いていました。
この前の空きペットボトルを持参したので、井戸水を頂いて帰りました。
ボトルが白くなるくらい冷たくて美味しそうなのですが、直接口をつけると不衛生になるので、我慢して持って帰りました。
2リットル入りのボトルを何本も持ってきている人もいました。5リットルまで百円と書いてあって、お賽銭箱が設置してあります。
冷蔵庫に入れておいて少しずつ飲んでいますが、美味しいです。お茶をいれても美味しいでしょうね。染の井の水と呼ばれ、京都の三名水のひとつとされていますから。三名水のうち、唯一残っている水なのだそうです。