京都生活 ー雨音に惚れてー

東京から京都に越して来て築90年?の家に住んでいます。見に来ていたときに降り出した突然の雨がトタンの部分に当たる音に惚れて決断した家です。おもしろいこと、すてきな場所、京都について感じたことについて綴ります。

祇園祭 前祭2

昨日から後祭の宵山が始まっているのですが、今日は、書く時間がなかった前祭(さきまつり)の宵山(宵々々山)の日の事を書こうかと思います。

 

宵々々山の朝10時半に友人と待ち合わせました。実家が京都で今は大阪に住んでいる人で、お札を返しに来るという事で、ランチの予約もしてくれました。

約束に遅れそうであせっていたのに、長刀鉾のところで消防訓練だといって、足止めされてしまいました。ただでさえ、そのあたりは人が多くて通り抜けるのがたいへんなのに。

友人は呉服屋さんではぎれを見ながら待っていてくれて、ふたりで計り売りの正絹の着物地を数種類ずつ買いました。破格のお値段でした。昭和の子どもの着物地みたいな懐かしい模様のもありました。何に使おうかしら。

 

鉾町は、平日の朝だというのに、けっこうな人出でした。

 

大丸デパートの洛中洛外図の屏風や高島屋の木村英輝氏の屏風やグッズなど見ながら祇園に向かいました。

 

友人が予約してくれたのは観光客でいつも賑わっている花見小路にある、津田楼さん。

オーナーは清水三年坂美術館の館長でもいらっしゃるそうで、併設のお店にはこれ以上はないというほど緻密な七宝の小さな作品や1930年頃と、それ以前のバカラのグラス、木版画などが置いてあります。

私たちはカウンター席を選び、お店のかたと時折お話したり、お庭の涼しげな緑を眺めながら繊細なお料理を味わいました。

 

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お料理の一部ですが、お見せしますね。

なんともかわいらしいおちょこにお料理がよそってあって、おいしく楽しいです。

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いったん帰宅してから、関東から着物文化の研修に急遽来る事になったという友人と軽い夕食を一緒にすることになったので、また出かけました。

量が調節できるので、地場野菜中心のバイキングの「都野菜・賀茂」というお店に行きました。軽く、と言いながらけっこう食べてしまいました。

 

ぶらぶら歩いて、祇園祭宵山の夜の風情を楽しみました。

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長刀鉾です。ここは未だに女性は上がらせてくれません。

ちょうど囃子方が乗ってお囃子を演奏中で、お祭の雰囲気も盛り上がっていました。

 

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月鉾です。

 

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蟷螂山の会所です。ご神体、懸装品のタペストリー、カマキリ(山には別のが乗っていました)が安置されています。

Tシャツなどのグッズも大人気です。

 

翌朝、ふたりで霰天神山に火の用心のお札をいただきに行きました。

長蛇の列だと思ったら、お隣の豚まんを買う人の列でした。近辺で立ってほおばる人もいました。

 

彼女は呉服の誉田屋さんに行くというので、そこまで歩いて行く途中、山伏山を通ると、山伏さんたちが護摩木を焚いているところでした。

ホラ貝も始まりました。

 

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茅の輪くぐりもできるので、人が並んでいます。

 

友人の目的地、誉田屋さんに着きました。帆布

に木村英輝さんが鯉を描いた大きな作品が目を引きます。創業270周年を記念して270匹の鯉を描いたそうで、毎年1匹ずつ書き足し、今年は278匹目になったそうです。

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ここで友人と別れてから、私は菊水鉾に上がらせていただいてから、帰りました。

 

 

 

 

 

祇園祭 前祭1

祇園祭は2014年から前祭と後祭と山鉾巡行を分けて行うことになりました。

今年は前祭の山鉾巡行は17日に、朝雨だった影響で懸装品にはビニールがかけられていましたが、無事に行われました。途中であがったので、去年よりはよかったです。

 

宵山山鉾巡行の前の3日間、普段山鉾が収納してある会所とか町家とか呼ばれる所にご神体が安置され、タペストリーなどの装飾品などが飾られ、お札や粽(ちまき・食べ物ではなく、厄よけに門先につけておくもの)をいただくようになっています。

子どもたちの(録音が多いですが)「つねは出ません。今晩限り…受けてお帰りなされましょう」と歌う声が、京都に生まれ育ったわけではない私にも懐かしく、夜美しく提灯がともった鉾町をそぞろ歩くのは、どんなに混雑していても、蒸し暑くても、年に一度の欠かせない行事です。

 

とはいえ、宵山の夜は歩行者も一方通行になるほどの混雑なので、山鉾の懸装品をじっくり見たいとか、セールをしている呉服屋さんなどをのぞくには(私ははぎれ目当て)、昼間出かけないと。

 

山鉾のある鉾町あたりでは、屏風祭というのもやっていて、町家やお店の窓からその家が持っている屏風、それと生け花などが見えるようにしつらえてあります。

 

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藤井絞さんです。りっぱな屏風、鉾の模型、祇園祭につきもののヒオウギの生け花が飾ってあり、写真ではうまく写りませんでしたが、奥に風情のある坪庭が見え、お家のかたが浴衣姿で通られるのが垣間見えて、昭和の映画の世界みたいです。

 

この写真は宵山が始まる前日に出かけたときのものですが、屏風祭は始まっていました。山鉾も長刀鉾や函谷鉾などはすでに仕上がって試し引きも済んでいましたが、まだ建てている途中の山もありました。

 

夏越の祓

昨日は6月30日でしたので、夏越の祓(なごしのはらえ)、茅の輪くぐりに行ってきました。

烏丸通、御所(正確にいうと御苑)の蛤御門の向かいにある、護王神社に行きました。

神社の門をくぐると、茅で作った大きな輪があります。

初めてこの光景をみたとき、「異次元への入り口」みたいに見えました。

 

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最初に行ったときにいただいたうちわに夏越の祓をすると千年寿命が延びると書いてありましたが、この輪をくぐると神様の世界に一瞬入るのでその分寿命が延びるのかしら、などと勝手に解釈していました。

それにしても、ここで千年、祇園祭の菊水鉾で700年寿命が延びたら、いったいいつまで生きるのでしょう。

 

最初に左側をまわり、数字の8を横にしたように右をまわり、もう一度左の柱をまわって正面に行ってお参りします。

半年の穢れ(意識していないものも含め)を祓い、あと半年の無病息災を願います。

 

この護王神社和気清麻呂と姉の広虫姫(法均尼)を祀っています。

和気清麻呂は、道鏡が権勢を誇っていた絶頂期、道鏡が自分を天皇にすれば泰平の世になるという宇佐八幡のお告げがあったと言った時に、本当かどうか確かめに行くよう天皇に命じられて宇佐八幡に赴き、天皇の血筋以外の者は追放せよとの神託を伝えたため、道鏡により足の腱を切られ、大隅(鹿児島)に流罪にされたのですが、宇佐八幡にお礼に寄ろうとしたところ、どこからともなく300頭ものイノシシが現れて、道鏡の刺客から清麻呂公を護ってくれたのだそうです。

 

それで、ここでは狛犬のかわりに狛イノシシになっているとのことです。

 

宇佐八幡にお参りすると、足も治り、再び歩けるようになったので、この神社は足腰の神様として、お守りなどを授与しています。

 

姉の広虫姫は政変や戦で孤児になった子を八十数名ひきとって育てたそうです。

広虫姫は宮中に勤めていましたが、天皇が出家して上皇になったとき、一緒に出家したので、この絵では尼僧姿で描かれています。法均尼というのが広虫姫です。

 

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イノシシの絵がなんだかかわいいですね。

境内には全国のイノシシの玩具などのコレクションが展示されています。

 

護王神社は最初神護寺境内にあったのが、明治19年、明治天皇の命により、今の場所、華族の邸跡に遷座されたそうです。

 

 

街中なのに野菜畑のあるレストラン

先日思いがけず友人と会ったので、軽いランチをすることにしました。

 

何度か入ろうと思ったけれどいつも予約でいっぱいだったお店が近くにあるというので、だめでもともとで覗いてみることに。

その時12時頃だったのですが、1時半までなら空席があるということでしたので、入ってみました。

八百一という野菜や食料品のこぎれいなスーパーの上にある、SAVORYというお店です。経営も八百一さんで、3階だというのに、窓の外には畑があります。

ビルの屋上に土を入れて農園を作っているのです。

 

メニューも新鮮な野菜をふんだんに使ったものです。

 

一番軽いパスタランチにしました。

最初にポタージュ、次に生野菜たっぷりのサラダ、パスタ、珈琲。

きしめんみたいなパスタはあまり好きではないという友人が、これはおいしいと言っていました。味付けもおいしかったです。

 

生野菜が苦手だった父みたいな人にはあまり向かないかもしれないけれど、緑の畑を眺めながらいただく食事、心が豊かになる感じがします。

 

八百一本館|レストラン・教室

 

 

もうすぐ祇園祭

祇園祭といえば、山鉾巡行と宵宮が有名ですが、実は7月1日からお祭りは始まり、丸一ヶ月非公開のものも含めて何かと行事が行われます。

公益財団法人祇園祭山鉾連合会のホームページを見ると、日程表が載っています。

一番上に「吉符入り(きっぷいり)」と書いてあります。

各山鉾町に関係者が集まって神職のお祓いを受け、祭期間の無事を祈り、囃子方もお囃子を奉納するそうです。

 

1日には「長刀鉾町お千度の議」がありますが、長刀鉾町の稚児と禿、役員のかたたちが八坂神社にお参りします。(まだ見た事がないので、今年は見てみたいものです)

 

毎年今年の稚児はどこそこの息子さん、と話題になります。葵祭の斎王代と一緒で、すごくお金がかかるそうなので、誰でも勤められるわけではありません。

今年はやさか観光バス社長の長男さんが稚児、次男さんも禿だそうで、兄弟が稚児と禿は4年ぶりということです。4年前は確かお茶の福寿園さんでしたね。

稚児は結納の儀により、鉾町と養子縁組するそうです。

 

2日には「くじ取り式」があります。

巡行の際に、常に先頭と決まっている長刀鉾など順番が決まっている山鉾以外の山鉾の順番をくじで決めるのですが、区議会の議場で行われます。

 

そのくじ取り式、一般参観も募集していると知ったので、応募しました。

 

そういえば、どうなったかな?往復はがきなのでどちらにしても返信は来るはず、と思っていたら、数日前、届きました。

 

「厳選なる抽選を行いました結果、誠に残念ですが、落選となりました…」

 

募集定員の70名を大幅に越える285通の申込があったそうです。

 残念。思った以上に競争率が高かったです。

 

水無月(お菓子)

去年も書いたのですが、関東では見た事がなかったのですが、京都では、6月にその名も水無月というお菓子を食べる習慣があるそうです。

30日が水無月の日なのだそうですが、その日は夏越の払えといって、神社にしつらえられた茅の輪をくぐって半年の厄を払い、残りの半年の無病息災を願う日で、お菓子の水無月も厄払いのお菓子と言われています。

旧暦の水無月は梅雨も空けていよいよ気温が上がり、川が氾濫したせいで疫病が発生することもあったので、夏を無事に越せるよう願いを込めた行事をしたものと思われます。

 

お菓子の水無月は、ういろうの上に小豆がのせてあるのですが、これは、貴族たちが氷室の氷を食して涼味を楽しむのを真似したい庶民が、とても氷など夏に手に入らなかったので、見た目をまねてお菓子を作ったものなのだそうです。

 

30日まで待たずとも、6月になるとお菓子屋さんには水無月が登場します。

1年中作っているお店すらあります。

 

今日は朝晴れていて、時間もあったので、いつも長蛇の列ができている出町柳のふたばさんに行って、水無月を買ってきました。ちなみにふたばさんは、「豆餅(普通「大福」とか大福餅とか呼ばれているものです)」が有名で、並んでいる観光客や地元の人のお目当ても、豆餅が多いです。

 

水無月はというと、私は黒砂糖のが好きなのですが、今回はスタンダードな、見た目が氷に少しは近い白いういろうに小豆のと、抹茶のういろうに大きな黒大豆がのっている、少し小振りのにしました。ただの抹茶ではなく、「柳桜堂の」と書いてありました。京都に生まれ育った友人が、お抹茶はここのがいいと言っていたお茶屋さんです。

 

黒大豆抹茶の方は、お茶のほろ苦さで甘みが押さえられていて、おいしかったです。白い方は普通に甘くおいしいですが、私はやはり黒砂糖か抹茶の方がさらに好みです。

 

今年は写真を撮るのを忘れませんでした。

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亀岡市のへき亭でランチ

東京にいた頃、「京都」というと、京都市しか思い浮かばなかったのですが、京都市だけが京都なのではないんです。

先日、亀岡市に行ってきました。

亀岡市明智光秀が築いた亀山城の城下町です。もっと古くからの歴史もあります。

 

京都駅からJR山陰本線嵯峨野線)で約30分、最初車窓から見えるのは京都市の市街地ですが、それを過ぎると、嵯峨野の竹林や、山間に川が流れているのが見えます。

保津という駅もありますが、「保津川くだりは馬掘で降りてください」と標示があります。

亀岡に着くと、ホームから見える景色は片側は完全に田園、反対側は町で、イオンや西友があります。

お目当てのへき亭は、ふるさとバスの毘沙門という停留所のすぐ近くなのですが、1〜2時間に1本と、本数が少なくて、出がけに人が来たりして出遅れてしまい、乗り遅れてしまいました。

へき亭は予約が必要ということだったので、バスの時間に合わせて予約していたので、一応京都駅から電話で少し遅れる旨を連絡し、亀岡駅からはタクシーに乗りました。

 

運転手さんによると、なかなか人気があってよくお客さんを乗せるとのこと。元代官屋敷だそうです。桂川を渡り、ゆるやかな上り坂を上ります。

「ここを左の道を行った方が、景色はいいんだけど。出雲大神宮もあって、出雲大社より古いんですよ」恋愛に、事業に、いろいろ霊験あらたかなのだそうです。

そちらも興味津々ですが、へき亭が目的なので、右の道を行くと、「へき亭」という道標があり、そちらに行くと白壁のお蔵などが目に付き、その前に小型バスと乗用車が止まっていました。タクシー料金は1200円でした。

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実は予約の電話をした時は、私の言い方がはっきりしなかったせいかもしれませんが、女将はちょっとこわい人かと思ったのですが、実際にお会いしたら、そんなことは全然なくて、とても親切なかたでした。

 

私が通していただいたのは、立派な調度品のある、応接間風の洋間でした。

モノクロの写真が飾ってありました。

 

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その日はアメリカ人のグループが来ているということでしたが、少しも声が聞こえず、静かでした。

お庭を眺めながらの食事です。ひとりだったので、一番軽い「むしやしない」にしました。

軽いと言っても、十分な量があって、生野菜の前菜のあと、きれいな形に折って器にした奉書にほうじ茶と水菜と鶏肉、椎茸その他のきのこが入っていて、それを好きな加減まで火を通していただきます。お茶で炊くのでさっぱりとしています。

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へき亭鉢とホームページに書いてあったのは、自家製の人参と玉ねぎをほっこり炊いたものでした。心やすらぐ甘さです。

それと揚げたての海老、季節のご飯とお漬け物。

 

熱い物は熱く、おいしくいただきました。

 

帰りはバスも当分ないはずなので、どうしようかと思ったのですが、帰りは下り坂で歩けない事もないので、ゆっくりまわりを見ながら歩いて行くのがいいのでは、とアドバイスをいただき、日傘も持っていたので、そうすることにしました。

古い家もけっこう残っていて、タイムスリップしたような風情があります。

 

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もちろん、普通の家や事務所、畑もあります。

 

永きに渡り、地域の人と子どもたちを見守ってきたお地蔵様。

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吹きガラスのスタジオがあったので、ちょっとのぞいて、セール価格になっていたサンプル品をひとつ、記念に買いました。

 

桂川の橋を渡っている時に、馬車が見えましたが、さすがにこれは観光用ですね。

 

亀岡市を、今度ゆっくり歴史に思いを馳せながら見て歩いてみたくなりました。10月には京都の祇園祭山鉾巡行のような山鉾巡行もあるそうです。