京都生活 ー雨音に惚れてー

東京から京都に越して来て築90年?の家に住んでいます。見に来ていたときに降り出した突然の雨がトタンの部分に当たる音に惚れて決断した家です。おもしろいこと、すてきな場所、京都について感じたことについて綴ります。

大徳寺 聚光院

大徳寺は季節ごとの公開の時に公開している塔頭はだいたい見たし、中には友人たちを案内して何度も行ったところもあるので、すっかり油断していました。

聚光院が昨年3月から創建450年記念特別公開をしているのでした。

 

見所は、普段は博物館にある狩野永徳とその父松栄の襖絵(国宝)が、本来あるべきところにあるのを見ることができることです。

 

もう3月で公開は終わってしまうということなので、慌てて今日の午後に予約したのですが、よりによって今日は粉雪が舞う寒さ。

厚手セーターを着たので、帰りに買い物に寄った時に汗だくになるのも嫌だと思って、コートにライナーをつけずに行ったら、予想以上の寒さでした。

お寺の板の間は冷えるので、靴下は2枚重ねで行きました。

 

大徳寺の敷地に入って、少し歩くとすぐ見えるこの山門。

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この2階に千利休の木像が置かれたために、自分が通る頭の上に置くとはけしからんと、秀吉の不興を買って、利休は切腹を命じられてしまいました。たくさんの寄進をしたり、いろいろ貢献してくれた利休に感謝を表すために、お寺が置いたのだろうと推測されています。

 

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聚光院の中は残念ながら撮影禁止でした。

 

まず、お庭を拝見します。

狩野永徳が下絵を描き、利休が整えたと言われる「百積庭」。初代の沙羅の樹は利休が植えたものだったそうです。

 

国宝の襖は季節の移り変わりに沿って描かれていて、雪景色の裏側の部屋には春の雪解けが描かれていたり、部屋の角の直角を利用して立体感を狙ったり、面白い趣向が凝らしてあります。金泥に黒い墨で描かれています。金泥は今は茶色っぽくなっていますが、描かれた当時はストイックな中にも華やかさがあったのではないでしょうか。

 

そして、何と言っても楽しいのは、動物の絵です。猿は画家の家族を表現しているそうで、2匹の白い猿は天才の永徳と祖父、松栄本人はというと、肩身が狭そうにうつむいている黒い猿なのですって。

左側には虎と豹が描かれていますが、毛皮は輸入されていたものの、本物の虎も豹も見たことがなかった当時の人は、虎がオス、豹がメスだと思っていた、ということです。

 

襖絵は正座した目の高さに合わせて描かれているそうで、座敷の中にははいれませんが、廊下で場所を変えて座って見たりしました。

 

その後、利休150回忌に表千家が寄進した茶席「閑隠席」を見学。

俗世間から切り替える為の露地庭の先には刀を預ける棚があり、その横ににじり口があります。

井戸の滑車はなんと、織部焼

 

閑隠席は利休好みということで、時代を経ているためにますます「わび・さび」という言葉がぴったりでした。採光を抑えてあって、薄暗い部屋をほんのりと障子越しの光が照らしていました。それは、集中できるようにそのような採光にしたとのことです。

水屋の側の天井は一段低くて、高さは163センチしかないそうです。

亭主の謙虚さを示しているのだとか。

水屋を挟んで、正方形の床の間がある「枡床席」がありますが、こちらは天井も少し高く、明るくなっていて、お蕎麦などが供された席ということでした。

今も利休忌にお茶会に使われているのだそうです。

 

最後は2013年に建て替えられて新しくなった書院を見学しました。

ここではやはり普段は公開していない、千住博氏の、瑠璃色の背景に白い滝が迫力ある襖絵を見せていただきました。試行錯誤して16年もかかったとのこと。

ここでもお茶会が開かれるので、男性、女性の着物の色との調和も考えてあるそうです。

 

いつまた見る機会があるかわからないので、寒いけれど、行ってきてよかったです。